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青海(おうみ)と申すものの煩悩の叫びブログ。 現在上橋菜穂子さんの守り人シリーズにどっぷりハマリ、原作がとにかく大好き。アニメ、コミックスも好きです。ごくまれに駄文を書くかもです。古い記事にはアニメGH(小野不由美:悪霊シリーズ)のツッコミもあり。
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Sun 06 , 02:43:24
2008/01
と、いうことで。
書くぞ書くぞと言って、有言不実行だった原作感想に手をつけました。
どきどき。
やっぱり原作は私にとって聖典扱いなので、改めて語ろうと思うとどきどきしますね。

年末年始で中二週の守り人放送休み。
この冬休み期間に(笑)感想書くぜい!!と思っていたのに、結局ギリギリになっちゃいました。
時間の経つのって あっという間だ。

ではでは、長くなりますので「続きを読む?」からどうぞ。
多分しょーもない叫びが延々続くだけになるかと思いますが、それでよろしい方のみで(逃げ腰)

上橋さんの作品でよく語られることに「世界の緻密さ」がありますが、それももちろん否定しないけど、やっぱり人物がとてつもなく魅力的。
これがとにかく私を惹きつけた最大要因。

ただ一幅の絵のような美しさに見惚れていただけのバルサ、これだけ離れていたら不敬にはなるまい、という世の中の常識を少し離れたところから冷めた目線で見ている姿だけでも「どういう人物なんだろう?」という興味が湧いてくる。
権威に対する冷静な視線を持てる人、それだけで私はバルサに共感し、尊敬のような感情を持ったと思う。
そして「子供が落ちた」それだけで濁流に飛び込む行動力と、まず自分が助かることが相手を助けることになるという判断、気絶していてくれよ、という現実把握。
・・・上げていけばキリがない。
とにかくバルサは魅力的だった。
権威も身分も関係なく一対一の人間として相手を見るまなざしや、全身全霊を上げて傷だらけになっても守り抜こう、生き抜こうとする姿や、魂込めて愛しむ姿が。
たまたま私とバルサの年が近かったせいもあるので、私はこの物語をずっとバルサ中心で読んでいった。
もっと子供のときにチャグム視点で読んで、年食ってからもう一度バルサ視点で読めたら幸運だったかも知れない、そう思うときはあるけれど。
無駄のほうが多いながらも年を食って、そして雑多なものを手放せずに拾いこんだ今この時に、自分がこの物語に出会えて、バルサに寄り添って読めたことを本当に幸運に思う。

そしてもう一人、どうしようもなく魅力的な人物、タンダ。
私の中で「いい男」不動の第一位だったヤン・ウェンリー@銀英伝の地位をおびやかした男。
広く、暖かく、大樹のような男。
自分にできることを黙々とやっていることで、見守り、支えて。
それがどんなに難しいことか。
しかし彼は全く何気なくそれをやってしまう。
本文読んでて、何度となく彼がバルサより年下であることに違和感を覚えた。
だって凄く大人じゃないか~~、それもさりげなく。

チャグムについては、最初読んだときはそれほど共感を覚えなかった。
「ふーーん」てなもんである。
が、何度も読み返すうちに 卵に支配されそうになっても抵抗し続け折り合いをつけさせる姿や、生き残るために死地に踏み込む姿に「生きる」事への執念のようなものを感じさせ、彼に興味が湧いた。
その彼が、生まれでて自分への影響力のなくなった卵をラルンガから守ろうとし、しかも自分を生かそうとするために戦うバルサ達を守ろうとして、爪を掠めて走り出す。
しかも彼自身も生きようとして。
そのことに遅まきながら気付いたときは、目頭が熱くなった(多分30回目くらい?の読み返し・・・ホントに遅い)

ほとんど全ての人物が魅力的だけれども、それはさすがに省きます。

上橋さんの「生きる」ということに対する視点も好きですね。
「食う、食われる。逃れる、とらえられる。当事者にとっては必死なのに、なんとまあ、ありふれたことか」
(詳細うろ覚えでごめんなさい)
命がけの戦いを終えて、やっと危険から解放された後の穏やかな時間に、この視点を持ち、こう語らせる。
ここだけではなく、生きているものが死ぬことが、特別なことでなくごく自然に起こりうることである、という目線が常にある。
だからこそ、あれほど鮮やかにバルサの生き様が浮かび上がってきたりするのかもしれない。

上橋さんの文章は簡潔で明快です。
一瞬で世界に引き込んで、生活の肌触りを感じさせる。
私は好きな物語に、よく、イメージがつきます。
指輪物語や、サトクリフは舞台となる大地が近いからでしょうか?轟々と吹きすさぶ風の音が。
ゲドでは風でも海の上を渡る風。
銀英伝では紅茶の香り(笑)
守り人、特にこの精霊では、湿った土の匂い、そして生活の湯気の感触。(鍋から立ち上る湯気とか・笑)
・・・・タンダの囲炉裏端の匂いかも。
物語に迎え入れてもらえる、そんな気がします。

そして語り過ぎない文章。
チャグムを預かり、宮を脱出したあと、負ぶったチャグムが背中で眠り込むシーンがありますよね。
そこでバルサが言います 「ああ、ちくしょう」って。
この一言、読むたび読むたび微妙に色合いを変えて、とても深みを帯びていく一言。
他にもこんな言葉はたくさんありますが、膨大な感情を凝縮した言葉は、受け手の内面や状態によってどんどん色を変える。
いや、様々な色で受け止められるようになれる。
だからこそ、何度でも読めるし、何度読んでも読み出したら止まらない。

そして時々強烈に引っ張られるシーンも現れる。
バルサがカンバルのことを語るとき、耳に残ったワシが骨を落とす音。
最初に読んだときに、薄青い空の、乾いた風のなかに強烈に引っ張られ、びっくりしたことを鮮明に覚えています。
そして続編ではそのときの世界が舞台になっていく。
物語の育とうとする強烈な引力に出会うのは、ゾクゾクするほどの喜びです。

「精霊の守り人」は、私にとって 生きようとする人々の物語なんでしょうね。
生きる、生きたい。
人も、ニュンガ・ロ・イムも。
死を背中に感じながら、生きる事に向かう人々。
このエネルギーを、守り人シリーズの中でもこの「精霊」が一番に感じる。
生への欲求なんて当たり前のようなことだけど、やっぱりとても大事なことなんだろう。

なんだか真面目になっちゃいましたが。
たまにはいいでしょう(をい)
お付き合いいただいてありがとうございました(ぺこり)
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GHにハマり、そのご縁で守り人にほれ込みました。
ごくまれに文章書くときもあり。
ヘンな物体ですが、ヨロシクお願いいたしますm(_ _)m
もし何ぞ青海に申し付けたい事などございましたら、
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