「月の森に、カミよ眠れ」

・・・・え～～～っと、エリン感想目当てでいらしてくださった方々、すみません。
思いっきりフェイントかまして、別作品の感想です。

なんか、図書館にて「久々に上橋さんの他作品読もうかな」と、何気なく手に取ったのですが。
以前一度読んでたはずなんですが。
・・・・・目一杯喰らいました。
勢いでさらっとですが、書いてしまいます。
よろしければ「続きを読む？」からどうぞ。
上橋さんの守り人以前の作品、実は持ってなかったんですが、これで買い揃えるの、確定ですわ。
・・・・ええい、懐の秋風なんか知らないったら知らない！！！


エリン、見る前からしんどくて、なかなか手を出せません。
ちょっと気合を入れてから とりかかりますので、いましばしご容赦を～～。

上橋さんの作品って、守り人が突出して大好きで、他はちょっと離されていたのですが。
が。
久々にこの「月の森に、カミよ眠れ」を読んだら、ガツンときました。

守り人は、ナユグの水の匂いが強かったり、伏せた時に顔に当たる草の葉の匂いがしてきます。
長い長い時の流れを感じて、サグとナユグそれぞれの沢山の命が、世界の端まで満ちています。

でもこの「月の森に、カミよ眠れ」は、濃密な大地の匂いの物語でした。
上橋さんの作品の中で、一番人間以外の生き物に寄り添った作品なのではないでしょうか。
カミかヒトか。
このどちらかを選ばざるを得なくなった時のカミの残酷さ。
でもその一見無慈悲に見える流れが、別の視点に立ったときに違う姿を見せてくる。
強烈でした。

生き物の、というよりは、「世界の」生命の力、それを感じさせてくれたのが「かなめの沼」でしょう。
ナユグもそうでしたが、ここではない世界を感じさせてくれる。
触れられないけれど感じられる強烈な力。
その濃密さにおいて、この作品は随一です。

ナガタチとトカゲとトビのシーンがあります。
ナガタチの下敷きになりかけたトカゲを、逃がしてやったら直後トビに食われてしまい、胸を痛める。
この心の動きも凄いと思いましたが、この食べるために命を奪うことに慣れていても、ちょっとした違いで痛みを感じる、この感覚を持っている上橋さんを凄いと思った。
視界の広さ、肝の据わりっぷりの凄さ？？みたいなものに、妙に安心したというか。
そういえば「精霊の守り人」で「食う、食われる、逃れる、捕らえられる」の言葉もあったもんね。
改めて大好きになりました、びば上橋さん！！！

キシメの迷い、そしてナガタチの迷い、自分の心の淵を覗き込むこと。
この迷いや逃げ、心当たりがあるある(爆)
気づかぬままに逃げていること、きっとたくさんある。
上橋さんの作品って、時々怖いくらいこちらを照らして映しだします。
あ、でもキシメの逃げは精霊～闇あたりのバルサに通じるぞ！！とつい思ってしまったり(笑)

全体に、上橋さんの感じている世界の広さを、リアルに伝えてくれた気がします。
さすがカンガルー捌いただけあるわ(意味不明・・・つーか自分の中では繋がってるのだが説明不能)
色々なもやもやがすっきりしました。
うん、この納得があるから、今後も上橋さんについていきます！！！(笑)
・・・・・でも今週のエリンを見るのは怖いのデス。